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♯24 怒髪天を衝く大妖術だっ!
「そんなの信じるやつがどこにいる!」
「世の中は不公平だらけだと感じたことはないかな。なぜあの人は幸せで、自分はいつまで経っても不幸なんだろうって。この世界ができた最初に、そう決められているからさ。明らかに、強くてNEW人生を送っている成功者がいるのはなぜだろう? そういうお話は人気があるからね!」
「でたらめを言うなっ!」
「だったら、試してみようか。タモちゃんは僕と戦って、悲劇の死を遂げるヒロインさ。お涙頂戴物のバッドエンドだよ。さあ、怒って刃向かっておいで」
「あたしの生き様を知ったかぶるな! 誰にだって幸せに生きる権利があるはずだっ! おまえをっ……、おまえを叩き潰して、未来を変えてみせてやるーーーっ!」
「いいねえ。順調、順調。ここで、あの台詞!」
「妖力フリーイング!」
「そして怒髪天を衝く無属性大妖術だっ!」
タモちゃんは、全宇宙に念を打ち込んだ。
「叫べ! 轟け! 悲憤慷慨の魂よ! この世すべてが全身全霊、万死炸裂、滅多斬りの超激甚終焉斬!」
生きとし生けるもの全部の心魂が、無限硬度の刃となって、創造主を全方位から怒りの袈裟懸け!
一刀両断!
薙ぎ刎ねる!
……たのだがっ?
創造主は表情をゆがめるどころか。
「はあーーーっ、はっ、はっ、はっ、はあああーーーーーっ!」
歓天喜地とばかりに、あざけり笑った。
ありったけの寿命を費やしてしまったタモちゃんが。
「くっ……!」
力尽き果て、倒れ伏す。
それを創造主は天にも昇る形相になって。
「ほらあっ、傷ひとつついてないよ! だって、そうなるように僕が決めたんだもの! 当然だよねぇええぇえええっ!」
気が狂ってしまいそうなほどに、快哉をわめき散らした、そのとき!
ピシッ……!
「えっ……?」
ガラスにヒビが入ったかのように。
創造主の存在が剥離。
総崩れして。
粉みじんに壊れ落ちていく――!
「なっ……、なんだ、これはぁあああっ! こんな演出を書いた覚えはないぞぉおおぉおおお」
小さなブラックホールが現れたかと思いきや。
ズルズルと。
「誰だぁあぁぁあああっ、情報の平面を書き換えたのは、誰なんだぁあああああぁぁあぁぁあ……。この世界はっ、僕のぉおおぉおおぉおおおおっ……」
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