♯25 かすかな残り香

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♯25 かすかな残り香

 創造主は黒い渦のなかに引きずり込まれて。  その有象無象が抹消された。  直後――。  みなが意識を取り戻して、何事もなかったように飛び起きる! 「みんな、いるっ? 1、2、3……」  タモちゃんが人数を数え始めたが。 「あれ? ひとり足りなくないっ?」 「いいえ、みんなちゃんといますよ?」  鈴鹿が数えなおしてみせるも。  タモちゃんは強い違和感に見舞われた。 「えっ……? 鈴鹿、エターニャ、デッドリィ、半、ロナ、菜乃花、菜乃葉、アマツカゼ、宇補先生、そしてジュテーム……。やっぱり誰か……」 「はじめから11人だよ!」  ロナが天真爛漫な笑顔で言うものだから。 「でも、どうやってここまで来たんだっけ。てゆか、ここはどこ?」  眉根を寄せるタモちゃんに。 「古代宇宙人が作った深海の大都市! 鈴鹿ちゃんの神通力で来たんじゃない!」  どうしたの?と、デッドリィが肩に優しく触れる。 「そうだったっけ……」 「それより、エディモウィッチを迎え撃つ準備を早くしませんか!」  半がタモちゃんの気持ちを高めようと声をかけてくれたのだけど。 「それが、逃げられちゃったみたい。よく覚えてないんだけどねー……ハハハ」  タモちゃんは申し訳ないと、苦笑した。 「ええーーっ、じゃあ不死の薬、どうすんの!」  アマツカゼがタモちゃんに泣きつくが。 「すぐに死ぬわけじゃないし。また探せばいいわよ。それに、なんだか、体の調子がとってもいいから!」  タモちゃんは落ち込むどころか、絶好調な笑顔をみんなに振りまいた。  突如、空気を揺るがす轟音が鳴り出して。 「どしたのっ?」 「摩天楼が崩れだしてるーーっ!」  エターニャの指さす高層ビル群が、まるで瓦礫を寄せ集めて作った建物が崩壊するように、上層階から砕け落ちてゆく。  その矢先に。 「コノ都市ガ、爆発スルマデ、アト180秒。至急、退去シテクダサイ」  自爆のアナウンスが轟き渡った。 「なんだってぇえええぇえぇぇぇ!」  一同、泡を食って慌てふためくなか。 「どおするのぉおおお! 帰る宇宙船もないのにーーーっ!」  デッドリィが頭を抱えてのけぞると。 「宇宙船っ? ここには神通力で来たんじゃないのっ?」  タモちゃんに再び強烈な違和感が込み上げてきたのだった。
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