22人が本棚に入れています
本棚に追加
♯25 かすかな残り香
創造主は黒い渦のなかに引きずり込まれて。
その有象無象が抹消された。
直後――。
みなが意識を取り戻して、何事もなかったように飛び起きる!
「みんな、いるっ? 1、2、3……」
タモちゃんが人数を数え始めたが。
「あれ? ひとり足りなくないっ?」
「いいえ、みんなちゃんといますよ?」
鈴鹿が数えなおしてみせるも。
タモちゃんは強い違和感に見舞われた。
「えっ……? 鈴鹿、エターニャ、デッドリィ、半、ロナ、菜乃花、菜乃葉、アマツカゼ、宇補先生、そしてジュテーム……。やっぱり誰か……」
「はじめから11人だよ!」
ロナが天真爛漫な笑顔で言うものだから。
「でも、どうやってここまで来たんだっけ。てゆか、ここはどこ?」
眉根を寄せるタモちゃんに。
「古代宇宙人が作った深海の大都市! 鈴鹿ちゃんの神通力で来たんじゃない!」
どうしたの?と、デッドリィが肩に優しく触れる。
「そうだったっけ……」
「それより、エディモウィッチを迎え撃つ準備を早くしませんか!」
半がタモちゃんの気持ちを高めようと声をかけてくれたのだけど。
「それが、逃げられちゃったみたい。よく覚えてないんだけどねー……ハハハ」
タモちゃんは申し訳ないと、苦笑した。
「ええーーっ、じゃあ不死の薬、どうすんの!」
アマツカゼがタモちゃんに泣きつくが。
「すぐに死ぬわけじゃないし。また探せばいいわよ。それに、なんだか、体の調子がとってもいいから!」
タモちゃんは落ち込むどころか、絶好調な笑顔をみんなに振りまいた。
突如、空気を揺るがす轟音が鳴り出して。
「どしたのっ?」
「摩天楼が崩れだしてるーーっ!」
エターニャの指さす高層ビル群が、まるで瓦礫を寄せ集めて作った建物が崩壊するように、上層階から砕け落ちてゆく。
その矢先に。
「コノ都市ガ、爆発スルマデ、アト180秒。至急、退去シテクダサイ」
自爆のアナウンスが轟き渡った。
「なんだってぇえええぇえぇぇぇ!」
一同、泡を食って慌てふためくなか。
「どおするのぉおおお! 帰る宇宙船もないのにーーーっ!」
デッドリィが頭を抱えてのけぞると。
「宇宙船っ? ここには神通力で来たんじゃないのっ?」
タモちゃんに再び強烈な違和感が込み上げてきたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!