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♯12 ホントの愛情
しばしふたりはにらみ合ったのち。
「なんでここにいんだよっ! リベンジかっ?」
ジュテームが身構えるが。
エターニャは腕を広げて、敵意のない態度を見せた。
「まあ、聞け。わたしは幼い頃から頭が良すぎて、同学年で話の釣り合う人間はひとりもいなかったのだ。だからいつも独りぼっちで、友達がいなかった」
突然語り出したエターニャに、ジュテームは片眉を吊り上げて。
「友達がいねえのは、おバカで性格が悪かったからじゃね?」
「燃やすぞっ!」
「かかってこいやあ!」
再び一触即発のにらみ合いをしたのちに。
エターニャはぐっとこらえて。
三角にした目を丸くした。
深く息をついてから。
「いいから、聞いて。わたしはIQが異常に高すぎたんだ」
「そうはまったく見えねえが?」
「なんせ、呪文を唱えながら産まれてきたくらいだからな」
「マジかよ。そりゃ、生粋の魔法使いってやつだな! がっはっは!」
「その呪文のせいで、生まれて間もなく、わたしの両親は……。わたしは、自分の魔法のせいで孤児になったんだ。わたしは厄災の子として忌み嫌われていた」
ジュテームの笑顔が固まって。
「…………」
思慮深い顔つきになる。
エターニャは目に浮かんだ涙をこらえるように歯を食いしばり。
「あの方は、行き場の無いわたしを拾って養ってくれた。だからあの方が望むことなら何でもやってきたんだけれど……」
言葉を詰まらせる。
その表情は。
自分がやってきたことが悪だとわかっているが。
育て親の愛情を否定することが素直にできず、正しいこととはなんなのかと、疑心暗鬼になっているかのようだ。
ジュテームはしんみりと俯いて。
「エディモウィッチはおまえが可愛そうだから拾ったんじゃないと思うぜ。おまえの力を利用したかっただけじゃねえかな」
それを聞いたエターニャが色を作し。
「あの方を軽々しく愚弄するな!」
と、息巻くが。
「昔の俺がそうだったからよ、わかんのさ。絶対だとは言わねえけどな……」
ジュテームが涙もろく目を拭うと。
「ああ! もう!」
エターニャが湿っぽくなった空気を嫌って、話の終止符を打つかのように鼻をすすった。
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