★第3章★ ♯1 ジュテーム・ファミリー

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★第3章★ ♯1 ジュテーム・ファミリー

 とある国の、とある町に、お酒に合うスイーツを出す、大人のケーキ屋さんがあった。  そこは、世界征服を目論むエディモウィッチ勢に抗う、レジスタンス支部になっていて。  店舗奥や上層階が居住スペースになっていた。  同じ屋根の下に暮らすのは。  ふたりの女子中高生と。  ふたりの女児に。  ひとりの大人男子の、計5人組。  1階にある20畳ほどのリビングでは。  3人掛けソファーの真ん中に。  キツネ耳のヘアバンドを装着し、チェック柄のワンピを着た、身長100センチ程度の銀髪ロングの姫カットをしたタモちゃんがちょこんと座っていて。  その両端に、タモちゃんと同じくらいの背丈と年齢の、火種色をした裾の長いワンピースを着る、ツインテールのエターニャと。  肩や背中をオープンにしたホルターネックに身を包み、お団子頭で娘盛りのデッドリィが、磁石のようにタモちゃんを挟んで腰掛けている。  向かい合うように置かれた一対のひとり掛けソファーには。  蝶ネクタイにジレを合わせたバーテンダー風の好漢、ジュテームと。  夏服セーラー服に、髪を下げ降ろした、うら若き大竹(おおたけ)鈴鹿(すずか)が座っている。  鈴鹿は10インチほどのタブレットを手に持って立ち上がり。 「今日は月例の家族会議に参加してくださいまして、ありがとうございます!」  軽くお辞儀をして皆と挨拶をする。  エターニャがすっと手を上げて。 「はい、エターニャさん!」 「わたしやデッドリィも家族会議に参加していいのかあ?」  鈴鹿は手をちょこんと頬にあて。 「もちろんです! おふたりはもうジュテーム団の家族ですから!」  と、ウインクすると。 「信頼関係っていいなあ、タモちゃん!」 「あたしとタモちゃんは家族なのね!」 「こらあ、ひっつくなあ!」  エターニャとデッドリィがタモちゃんを奪い合う。 「でも、団って聞くと、なんだか悪役みたいに聞こえない?」  ドドメ色の髪をしたタモちゃんが、ちゅーされながら鈴鹿につぶやくと。 「じゃあ、ジュテーム一味(いちみ)は?」 「もっと悪者っぽい」 「ジュテーム一門(いちもん)!」 「落語家か!」 「ジュテーム部屋(べや)」 「相撲取りかよっ」 「うーん、チーム・ジュテームでどうでしょう?」 「もうなんでもいいから、今日の議題にいってくれ!」  しびれを切らせたジュテームが、面倒くさそうに頼み込む。
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