♯3 弱点を回避せよ!

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♯3 弱点を回避せよ!

 鈴鹿はどうにか笑顔で取り繕って。 「エターニャさんとの戦いでは、タモちゃんの髪の毛が短くなると、妖力が弱くなることや、1度強大な妖術を使うと、疲れ果てて眠っちゃうとか! ありましたよね!」 「あの毛生え薬さえ無ければ、ぜったいにエターニャの勝ちだった。今からでも根絶やしにしてやるか……」  エターニャがタモちゃんに悪い顔をしてみせると。 「いやいや、たくさんあっても、2度と飲まないから!」  タモちゃんは首をぶんぶん横に振って、青ざめ嗚咽してみせる。  鈴鹿はまたもや苦笑いを振りまいたのち。 「デッドリィちゃんとの戦いでは、ジュテームさんがお酒が切れると草食男子になって、戦えないことを狙われて、世界中のお酒と酒蔵が被害を受けました」 「俺のせいで大切な酒蔵ぐぁ」  目頭を押さえつけ、切歯扼腕するジュテームとは裏腹に。 「でも世界ツアーは楽しかったわ! アッハハ!」  デッドリィが思い出し笑いを始めたものだから。  タモちゃんは足の先から震え上がって。 「あの聖剣、ちゃんと返してきたんだろうなあ!」 「返しに行ったら、もう抜いた本人にあげますって、鞘までくれたわ! ほら!」  デッドリィがニヤリと聖剣を取り出した。 「ひええっ」  タモちゃんが大慌ててエターニャを盾にするが。 「たしゅけてっっ」 「タモちゃん、どうせ模造品だぞ」 「そうじゃなくて、あいつに剣を持たせたら危険なんだっ!」 「堕天使は刺しちゃうぞおーーっ」 「ひひぃーーっ」  デッドリィとタモちゃんが仲睦まじく追いかけっこを始めたものだから。 「まったく。朝からイチャイチャしちゃってさ!」  エターニャが唇を尖らせた。 「これのどこがイチャついてるのよおっ!」  タモちゃんがあまりにも楽しそうに涙をほとばしらせているので。  エターニャもこちょこちょの構えを見せつけてから――。 「それ、逃げろーーっ!」  デッドリィと一緒になって、タモちゃんを追いかけ始めた。 「それにしたって、世の中の酒と酒蔵をすべて破壊しようだなんて、壮大な対策を講じたもんだよねえ、ターモちゃん!」 「当時は世界中に屍人形がたくさんいたもの。そんな任務、あたしなら容易でしょ? ねーーっ、ターモちゃんっ、待てーーーっ」 「来るなあぁあっ」  タモちゃんたちが暴れ回って、家族会議の収集がつかなくなってきた。 「また狙われるかも知れねえから、それに用心しようって話だな?」  ひとり、話の核心を突いてくれたジュテームに、鈴鹿はホッと大きく首肯して。 「はぁい! それも大切ですけれど、ボクたちにはまだ、知られざる重大な弱点があるのです!」
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