♯17 画伯の実力

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♯17 画伯の実力

「やらないの? てっきりお色気担当で呼ばれたと思ったのに」  デッドリィが半の豊かな胸を指さすと。  半は腕で胸を覆い隠して。 「お色気担当なんか引き受けるかっ。大体こんなに肌を隠してるのに、お色気なわけないだろ!」  と、釈明したのだが。  デッドリィとエターニャは、シースルーになっている胸元や脚をじとーっと見つめて。 「隠しているようで隠してないじゃない!」 「中途半端に素肌を見せつけられると、人は興奮するんだぞ!」 「見せつけてないよっ!」  半が少し胸を弾ませる。 「ほら! 胸を揺らした! お色気だーっ!」 「お色気じゃないっ!」 「おーいろけっ、おーいろけっ」 「だまれ~~~っ」  まるで小学生の喧嘩のような、ぐだぐだにそれた話を。 「れもー、なんでボクたちと敵対してるんれしゅら?」  鈴鹿が舵を取り直して問いかけると。 「それはだな、世界征服を目論むタモちゃんたちを倒せたら、戦国時代の忍者に生まれ変わらせてやると、神と契約を結んだからだ。そういうことだから、観念しろ!」  半が斜に構えて大槍を振り回す。 「ちょっと待つの! 世界征服を目論んれるのは、エディモウィッチらのーーっ!」 「問答無用だああっ!」 「鈴鹿ちゃん、これはどうやら力の差を見せつけて、いったん大人しくさせるしかなさそうよ」  デッドリィたちも攻撃態勢を整えた。  半は大槍を畳に突き立てて。 「その減らず口、黙らせてやる! なんたって、おまえたちの弱点は学習済みだ! いくぞ! まずはバフ持ちのおまえから! 魔忍法(まにんぽう)、カワイイがいっぱい、稚児(ちご)絵師(えし)(じゅつ)!」  半が絵筆を取り出して、宙空に何やら動物らしきものを描いていく。  ネコさん、イヌさん、ウサギさん……。  クマさん、リスさん、キツネさん……。  それらはまるで、園児がクレヨンで描き殴ったような未熟なイラストで。 「さては、あのピラニア(らくがき)も、てめえが描いたなっ」  ジュテームのそしりにも、半は余裕の笑みを見せつけて。 「画聖と呼ばれた拙者の絵に見とれて虜になるがいい! ほれっ、ほれっ」  つぎつぎと動物たちの絵を描いていく。  半の拙い絵にいち早く反応したのは、やはり鈴鹿だ。  愛嬌のある、稚拙な画風の動物さんたちが、鈴鹿をきゅんきゅん囲い込むや否や。  鎖のように連なって、鈴鹿をグルグル巻きにふん縛る! 「きゃわっ、きゃわっ、きゃわわわーーっ。しあはぁわわぁあああせらあ……、もうらめ、行っちぇくりゅぅ……」 「鈴鹿ちゃん! 行くってどこにっ? 鈴鹿ちゃんっ!」 「ダメだ。聞こえてない!」  デッドリィやエターニャの声はもやは鈴鹿に届いていない。
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