♯5 レッツ・スタート・クッキング!

1/1
前へ
/196ページ
次へ

♯5 レッツ・スタート・クッキング!

「ケーキを売りまくって、学費分くらいすぐに稼いでみせるわ!」  デッドリィの超絶ポジティブな勢いに、鈴鹿は見通しが少し明るく感じられたようで。 「お店に立たない代わりに、ポップに誰が作ったか動画とか、写真を添付しましょうか!」  ケーキを売るしかないと腹を括った。 「あまり人目につかないようにするんだぞ。俺たちがレジスタンスなのは秘密なんだし、ここは極秘のレジスタンス支部なんだ。それを忘れるな」  ジュテームの心配を払拭するほどに、デッドリィは勇ましく頷いて。 「任せて! それで自販機はいつ手配できるの?」 「倉庫から出せりゃすぐにでも」 「エターニャさん、魔法で運びだせる?」 「問題ない」 「よおし! 早速、今日のお昼から売り出すケーキを作ってみよーーっ!」 「おおーーっ!」  デッドリィの威勢の良いかけ声に、みな拳を突き上げたのだった。  ふりふりの、パティシエ・メイド服に着替えた皆が集まったのは(残念ながらジュテームだけはいつものバーテンダー姿だが)、ジュテームがお酒に合う特別なケーキを作っているお店の調理室で。 「どんなケーキを作りたいんだ?」  ジュテームが意見を求めると。 「やっぱりこの辺ではあまり見かけないジョポンのショートケーキがいいわ!」  デッドリィがマンガを取り出し、ワンシーンを指さした。 「イチゴのやつか。みんなそれでいいか?」  皆がそれでいいと首肯すると。 「ちょっと待ってろ」  ジュテームは紙に材料や分量などを書いたのち。 「ひとり6号のホールをひとつ作るとして、こいつがレシピと5人分の材料だ」  冷蔵庫や食料棚から食材を持って来た。  卵に砂糖、薄力粉に無塩バター、牛乳、バニラオイル、生クリーム、ラム酒にイチゴなどなど。  すでになんだかいい香りがして、ケーキを作る高揚感が増してきた。 「店のを分けてやるし、厨房も使わせてやるが、大切に使えよ。そして清潔を保て。髪は必ずまとめろ。そんじゃ、ま、やってみろ」  ジュテームが手を振って調理室から退出してゆく。 「調理器具はさすがに本格的ね!」 「ジュテームってこんなに綺麗好きだったんだ!」 「意外だ!」  デッドリィが調理室をワクワクと見渡して。  タモちゃんとエターニャがピカピカの厨房に目を見張る。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加