♯11 謎が解けた!

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♯11 謎が解けた!

「材料費を引いた儲け分がいくらか知らないけれど、それでもうちょっとご飯を豪華にしていただければあ……」  タモちゃんたちが上目遣いで見上げると。 「善処してやる」  ジュテームが顔を綻ばせてくれたので。  みな手をつかみ合って。 「やりましたね! 明日もケーキ販売やっちゃいますぅ?」 「鈴鹿、当たり前じゃない! 倍の、いや、3倍くらい作っちゃっても平気だわ! みんな、ケーキで儲けるぞーーーっ!」 「おおーーーっ!」  タモちゃんたちはウキウキしながら、お店の開店準備に勤しんだのであった。  その日の夜の、みなが就寝しようとしている頃のこと。  リビングの窓辺でたくさんの何かを括りつけているエターニャがいた。  通りすがったタモちゃんと鈴鹿はそれに気がついて。 「なにやってるの?」 「あ! てるてる坊主じゃないですか!」 「その通り! ジョポンじゃこうやって吊して晴れのお祈りをすると聞く。明日もお客さんがたくさん来てほしいもの!」  そう言って、エターニャは「晴れますように」と両手を合わせた。  鈴鹿とタモちゃんは近寄って。 「手作り感がかわいいですぅ!」 「よくそんなの知っていたわね」 「アニメで何度か見たことがある!」  エターニャが吊したてるてる坊主たちを、ちょこんと指で揺らしてみせた。  てるてる坊主の顔はどれも飛び切りの笑い顔だ。 「でも本当は目を書いちゃダメなんですよ?」  鈴鹿が思いがけないことを言ってきたので。 「えっ、そうなのか?」 「なんでっ?」  エターニャとタモちゃんは目を丸くした。 「ちゃんと晴れて願いが叶ったら、そのとき目を書き入れて、お礼に御神酒(おみき)をお供えするのが正しいんです」  鈴鹿はてるてる坊主をひとつ取り外して。  作るときに余ったであろう布きれで目隠しを作っては、てるてる坊主につけてあげた。 「なるほど! だからアニメでは願いが叶わない展開が多かったのか! エターニャもやろっと!」  エターニャはポンと手を打って、他のてるてる坊主にも布きれで目隠しをし始めた。 「日本人でも知らないことを知っているだなんて、さすが鈴鹿ね!」  タモちゃんが感心すると、鈴鹿は少し照れた様子で嬉しそうに微笑んだ。
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