青い星

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 広大無辺な宇宙空間の中で、私はちっぽけな人間だった。無限の闇より小さく、私達より大きな宇宙船に乗って、とある惑星の周回軌道を横切っていた。船長である男は、鋭く眼光をひからせて、窓の外にある一つの星を睨んでいた。 「あと三百年後。あと三百年すれば、あの青い星は我が母星にぶつかる。そうなる前にあの星を取り除くのが我々の役目だ」  船長は自身の顎髭を撫でてそう言った。衛生管理の観点から髭は毎日剃るように説明を受けていたが、彼の無精髭は、その決まりが大した効力を持たないことを物語っていた。  船長が私の方を向き直る。彼の背後では、青いビー玉のような星が周囲の恒星の光を反射して瞬いていた。金属製の窓枠は、その星からの光を受けて、淡い水色に揺れている。私はその時、潜水艦から海中を覗いている気分になっていた。そして私の精神と呼応してか、我々の船の前方から、別の宇宙船が深海を彷徨う魚みたいに泳いできているのが見えた。
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