青い星

3/12
前へ
/12ページ
次へ
 すると船長はコクピットにある通信装置のスイッチを数度押して、宇宙船から光を点滅させた。前方にいる宇宙船も、同じように光を点滅させる。カチカチカチと、暫くの間船長がスイッチを押す音が船内に響いた。その度に、宇宙船から伸びる白い光が、まるで生死の淵で藻搔く生命のように明滅した。私には船長が、その生命を殺すためのボタンを入念に押しているように思えた。  やがて前方の船は、私達の船を横切っていく。宇宙船の窓から、向こうの船員がこちらにお辞儀しているのが見えた。船長がそれに答え、いつも深く被っている帽子を外して頭を下げたので、私も彼に倣って頭を下げた。 「暗い宇宙で他の船を見つけたときは、こうやって敵意がないことを相手に示すんだ。覚えておくといい」 「相手に敵意があった場合はどうするんですか?」  私が質問すると、船長はコックピット内の、さっき操作したのとは違うスイッチを指さした。 「安全装置を外してこのボタンを押すと攻撃が出来る。この船は星を破壊する為に造られた船だ。人工的に造られたものを破壊するなど、造作もないことだ」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加