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言い終えると、船長はまた自分の髭を撫でて私の顔を見つめた。彼の視線はまるで私を見分しているようだった。私のことをひっくり返して、出てきた持ち物を顕微鏡で調べられているような――まるで、私の人生全てが見透かされているような――居心地の悪い視線だった。逼迫した私はつい、「なんですか?」と尋ねてしまう。
「星を壊す仕事は初めてだったな」
「ええ」私は食い気味に頷いた。
「この仕事は非難されることが多い。ましてや今回壊すのは、地上から観測できる日がくればニュースで取り上げられるほど稀有で一般的に美しいと言われている星だ。叙情主義の連中からは、我々の仕事が芸術を破壊する行為だ、とも言われているらしい。宇宙が長い歴史をかけて作り上げてきた神秘の塊を、我々のエゴの為に破壊する下劣な行為だとな」
「ええ、存じております」
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