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船長が再び青い星の方を向いたので、私もその視線の先を追った。星は、これからの自分の運命など知らない様子で純粋無垢に瞬いていた。周りにある惑星と比べて、随分と小さな星だ。だがこの星が私達が住む星にぶつかれば、何億人もの犠牲が出ると、この仕事を受ける際に専門家から説明されていた。私には眼前にある小さな星が、そこまでの敵意を持っているようには到底思えなかった。ただ、そこにあるだけだ。自分では何もできずに、ただ周囲の恒星のお零れの光を貰って瞬いているだけだ。
「私は――」私は口を開いた。
「この仕事に就く前は死刑の執行人をしていました。死刑囚を殺すためにスイッチを押すだけの仕事です。異星人が増え、法律が複雑化していくにつれて死刑のスイッチを押す回数は増えました。それと比べれば、誰も住んでいない星を一つ壊すことなど簡単なことです。誰の命も奪ってはいないのですから」
「誰の命も奪っていない、か」
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