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青い星が瞬いた。暗闇が全ての光を覆ってしまいそうな宇宙空間においても、星は瞬いていた。昔、万物の輪郭は、それ以外の外側にあるものによって形成されていると聞いたことがある。青い星もまた、自分以外の恒星からの光によって輝いて見えている。その事実は、そこに青い星があるということを明瞭にしていた。
「あの星は表面が海で覆われているらしいな」と船長は言った。
「だから青く光っているらしい。――悲しいことだ。海があるということは微生物がいるかもしれない。魚がいるかもしれない。深海には海藻が生えているかもしれない。あの青い光は、その生物たちの叫び声かもしれない」
「光がですか?」
「ああ。音のない宇宙では、光は他者と交信する為の唯一の手段だ。あの青い明滅が見えるだろう。我々に敵意がないことを示しているではないか!」
船長は青い星に答えるように、コクピットのスイッチを何度も押した。カチカチカチと、音がなる度に静かな宇宙空間で白い光が明滅した。その光は、無数に点在する恒星のどの光よりも弱弱しい光だった。私は何故だか、その光が瞬いている間のみ、時計の針が動いているような気がして焦燥に駆られた。
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