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何も見えない視界の中で身体が何度も浮遊する。飾ってあった観葉植物が背中に衝突する。機器同士を繋ぐパイプが外れて、空気が抜けるような音が聞こえた。他にも、砂利のはいった瓶を振ったときに鳴るような慌ただしい音があちらこちらで響いていた。
「船長、はやく船のライトをつけるスイッチを押してください。このままでは星にぶつかってしまう!」
船長はコクピットのスイッチを押した。交信用のヘッドライトはエンジン側のエネルギーを使っている為、部屋の電灯とは関係なく、船の前方に白い光を灯すことが出来た。
やがて風が止み、船の揺れが収まると私はすぐに船長の方を向いた。淡い青の光が船長の輪郭を照らしている。彼の息遣いはまだ荒く、呼吸音がしじまの中でよく聞こえた。私も深呼吸をし、心臓を落ち着かせていた。目が暗闇に慣れてきた為、床で観葉植物と、それを入れていた鉢の破片が散らばっているのが見えた。私はその破片を踏んでしまわないように、慎重な足取りで船長の方に近づいた。
「大丈夫ですか?」
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