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その背を見送った後、ドッと疲れたエヴァは大きなため息をつきクライムを振り返る。
「ありがとう……その、助けてくれて」
「いえ、当然のことですので」
素直に嬉しかった。
ずっと気まずいままだったからわだかまりが取れたようで、思わずふふっと小さく笑みを浮かべる。
「この前はごめんね……酷いこと言って」
バカって言ったことを気にしていたエヴァはこれを機に謝るが、クライムは珍しくおどけたように「傷つきました」と小さく笑う。
そんなクライムが面白くて嬉しくて。
思わず二人で笑い合うと、今日一番心が晴れやかになった。
(仲直り出来て良かった……)
安心してひと息ついたエヴァはこのまま父に先程あったことを報告し、今日は下がらせてもらおうとバルコニーの入口に向かう。
すると急にクライムに止められた。
どうしたの? と振り返ると、目の前には小さな花束が。
「十七歳のお誕生日おめでとうございます、エヴァ様」
「……っ!」
あまりの嬉しさに言葉に詰まり震える手で受け取ると、月の光に照らされ輝く美しい花に魅入った。
「わざわざ……用意してくれたの?」
「本当はプレゼントの予定だったのですが……結局何を選べばいいかわからなくて」
申し訳なさそうに言うクライムに、あなたからならなんでも嬉しいと笑顔で伝えた。
「ありがとう。今日一番の誕生日プレゼントだわ」
嬉しくて涙が出そう。
心からの笑顔で礼を言うと、クライムも嬉しそうに笑ってくれた。
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