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不慮の事故でシオンが亡くなったが、彼の死を嘆く者はいなかった。
罰が下ったのだと嘲笑う者すらいた。
そんな中、スズランはシオンが事故とはいえ亡くなったことで解呪の条件を満たし、スズランから呪いが消えた。
皮肉にも、シオンが浮気して婚約破棄を突きつけたことがスズランを守ったのだ。
それだけではない。
呪いが解けると、呪いをかけた者の体が黒く腐敗して死んでしまう『呪い返し』が起こる。
その呪い返しを受けたのは、シオンの浮気相手であるユリだった。
それによりユリの家門が水面下で呪いの研究を続けていることが判明し、破滅に追い込まれた。
「シオン様……どうして」
呪いに関する事件がようやくひと段落つき、スズランはシオンの亡くなった場所に初めて足を運ぶ。
シオンは大雨の中、氾濫した川にのまれて亡くなったという。川にシオンの死体が浮かんでいたと聞き、想像するだけでスズランの胸が痛む。
「シオン様……っ」
スズランはあったかもしれない未来を想像をしてしまう。
呪いについてシオンに話さず、黙って自分が死んでいればシオンは死なずに済んだかもしれない。
解呪の条件を伝えて婚約破棄していれば、こんなシオンが叩かれて死ぬことはなかった。
「う……ああ……申し訳、ありません……」
己の無力さに打ちひしがれ、スズランはしばらくその場から動けなかった。
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