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「シオン様が学園を去った時……私がプレゼントした青いピアスをつけていた気がするのです。離れていたので確証はありませんが……」
呪いの話をして以降、そのピアスをつけた姿を見たことがなく、捨てられたものだと思っていた。
「もし、あれが私のプレゼントしたピアスだったら、シオン様は私のためにこのような選択をしたんじゃないかって」
実際シオンが浮気していた相手であるユリは、スズランに呪いをかけており、呪い返しという形で亡くなった。
さらにそのことがユリの家門が呪いを扱っていた決定的な証拠となり、一家諸共破滅。
偶然か、それとも必然か。前者にしてはあまりにもできすぎている。
(なんて……私がそう思いたいだけ)
スズランは、シオンが自分を愛してくれていたと思い込みたかった。
「やっぱり都合が良すぎますよね……え」
スズランは苦笑しながらライラックに視線を向けたが、ライラックは静かに泣いていた。
頬に涙が伝い、スズランを切なげに見つめている。
「ライラック様?」
「……っ、シオン……もう時効ってことで話していいか?」
「ライラック様、どうされたのですか……?」
「このままだと一生シオンは報われないままだ……」
必死で何かを訴えるような姿に、スズランの鼓動が速まった。
「あの……ライラック様」
「シオンは事故で死んだんじゃない。シオンは、あいつは……! 自ら命を絶ったんだ」
スズランはその言葉の意味を理解するのに時間を要した。
口元を手で押さえ、嫌な汗が流れる。
「君はシオンに呪いの話をした時、解呪の条件は話したか?」
スズランは首を横に振り、その時の自分を思い出す。
もし解呪の条件を伝えれば、シオンが身代わりになりそうな気がして怖かった。だから、スズランは呪いの条件を伝えないまま婚約破棄を申し出て、ひっそり死を待とうと思ったのだ。
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