真実の愛

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「やはりみなさんが仰っていた通りです。シオン様はとても優しくて、温かい人ですね」 「どこを見てそう思ったんだ」  どちらかといえば冷たく当たっているつもりだったが、スズランは気づいていないようだ。 「シオン様は、私が初めてシオン様に挨拶をした時を覚えていますか? あの時は恥ずかしながら、緊張で頭が真っ白になってしまい上手く体が動きませんでした。そんな私をシオン様は咎めず、見過ごしてくださいました」  指摘するほどのことでもなく、何も言わずにいただけだが、その行動がスズランにとって優しいに繋がったようだ。 「この婚約が嫌ではないのかと、私の意思を確認して下った気遣いも、とてもお優しい方なのだなと思いました」  どれもこれもスズランの思い違いで、自分の良いように解釈する人であることがわかった。  しかしシオンは不思議と不快ではなく、このような考え方の人もいるのだと新たな発見だった。  最初は少しの興味から。共に過ごしていくうちに、いつしか互いにとってかけがえのない存在になっていった。 「これを見つけた時、シオン様に似合うだろうなと思ったんです」  学園への入学が迫っていたある日、スズランはシオンに青いピアスの贈り物をした。  恥ずかしそうに頬を赤く染める姿は愛おしく、自分を想いながら選んでくれたのだと思うと、嬉しさのあまりシオンの顔が綻ぶ。  ピアスをつけて喜ぶシオンを見て、スズランもまた嬉しそうに微笑んだ。 「君が私の婚約者で良かった」  この時シオンはスズランに向け、初めて本音を明かした。  愛を知らずに育ったシオンにその感情を教えたのは、他でもないスズランだった。  三年間の学園生活が終われば、二人は結婚することが決まっている。  シオンは早く三年が経てばいいのにと思っていた。
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