怪しい男!!

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怪しい男!!

 「ねえ、ヒーローになる気はないか?」  通勤中の駅のホーム。かけられた突拍子もないセリフに驚いてしまった。声をかけた男性は、言っちゃアレだが、何ともチャラついた男性だった。冷やかしか?気が狂っているのか?何はともあれ、無視した方が賢明だろう。そう思って、素通りしようとすると、今度は腕を掴まれた。さすがに、それはないだろう!そう思って睨んでやると、彼は案外すぐにパッと手を離し、今度は冷静に言った。 「揶揄ってるわけじゃないし、冗談でもないよ。考えてみて」  それだけ言うと、彼はすぐに離れていった。  言いながら渡された名刺には、名前、会社の住所、そして裏に今日の日時と駅に併設されているショッピングモール内のカフェの名前が載っていた。仕事が終わったらここに来いということなのだろう。正直、行くのは面倒だ。面倒というより怪しい。壺でも買わされそうな予感だ。行かないのが賢い選択というものだ。
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