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ワタルの危機!!
太陽が照り付ける八月のある日。
ついに、バケモンが現れたことを知らせる連絡端末が鳴った。
「ついに来たのか……」
俺は小さくため息をつきつつ、急いで、ヒーロー衣装に着替えた。俺の任務は、あのバケモンを倒すこと、それも普段のレッドを演じながら。そうだ。味方に俺がぱちもんだとばれてはいけないのだ。
バケモンは、この夏人気のプールに来ていた。夏休みだからか、プールには人がごった返していて、逃げ惑う人々は皆押し合いせめぎあい、パニックを起こしていた。
さて、今から俺はこのバケモンを相手に戦わないといけない。ちょうど、仲間のバケモンヒーロー、ブルー、グリーン、イエロー、ピンクも到着したところだった。顔全体を覆ったマスクごしに、真剣な眼差しでバケモンを見つめているのが分かる。
……俺はというと、そんな中、1人ガクブルと足を震わせていた。当たり前だ。今までバケモンとの闘いは、本物のバケモンヒーローたちに任せていた。そんな中、いきなりヒーローになり代わるなんて、バケモンにえさを差し出しているのも同然だ。
そうだ、思い切って逃げてしまおう。群衆に押されたフリをすれば、うまく、そしてレッドの尊厳を傷つけることなく逃げることができるかもしれない。
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