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おすすめのハーブティーはこちらになります
そういえば……と、女性はここまで案内してくれた黒猫の存在を思い出した。店内をあちこちみても猫どころかキャットタワーや猫ベッドが見当たらない。猫は狭いところや高いところが好きだと聞くが、隠れてるだけのような感じではなく、そもそも猫の存在が無いかのような感覚がした。
「お客様、どうかされましたか?」
辺りを見回す女性にカウンターから優しく声をかける店主。
「あっ、ここまで連れてきてくれた猫がいないなって……飼い猫さんですか?」
「ビビのことですか?ここはハーブや草木が沢山ありますので、猫には毒なのもありますし、匂いに敏感なのでここには絶対に入れないようにしています」
「そうなんですね、ビビちゃん……可愛い名前」
「ありがとうございます」
おまたせしました、と店主は2種類のハーブが入った小皿をテーブルの上に置いた。それぞれ色合いも違うのがわかる。白い花びらと黄色の種のような部分や茎など花がメインだと分かるハーブと赤や黄色などのビタミンカラーで花びらや果物の皮が見える飲んだら元気になりそうなハーブが並んでいた。
「こちらの茶色と黄色のハーブは"カモミール"になります。キク科のジャーマンカモミールで、古代では大地のリンゴと呼ばれるほど、甘いりんごに似た優しい香りのハーブになります。ミルクとの相性が抜群ですので、カモミールミルクティーがおすすめです」
「とても甘い香りがしますね」
鼻を抜けるりんごのような香りがとても心地よく、飲むのが楽しみでしかない期待値がとても高いハーブだと女性は少し心が躍った。
「こちらの赤い花がメインのハーブ"ローズヒップ"になります。ドッグローズという野バラの一種で、その形からビタミンCの爆弾とも呼ばれており、ビタミンが豊富でスキンケアや風邪予防に用いられています。アップルやオレンジピールを加えてますので、アイスティーもおすすめです」
「香りが全然違いますね、ハーブは奥深いです」
カモミールとは見た目も香りも異なり、少し酸味を感じるフルーツとお花の香りが良いバランスとなって、こちらのハーブの期待値も爆上がりの女性は笑顔を見せた。
「カモミールには、マスカットのような甘い香りがするエルダフラワーを少し加えています。お茶菓子は手作りスコーンをご用意いたします。ローズヒップには、シフォンケーキとローズヒップを抽出した茶葉はたべるとビタミンやカルシウム、βカロテン、鉄分、リコピンが豊富に含まれていますので、蜂蜜をかけてお召し上がりいただけます。どちらのハーブティーになさいますか?」
「私の悩み事を聞いてくれて、調合してくださったハーブですよね。どちらも魅力的で……」
「お客様の求めるものを直感的にお選びください」
「……ローズヒップのホットでお願いします。茶葉も食べれるのは魅力的です」
「かしこまりました、ではローズヒップをご用意します」
店主はカウンターへと戻っていった。
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