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「はーい」
ドアを開けると、野球部の監督である山中先生が「おい、宮本くん。君のせいで佐藤くんがゲームの世界から抜け出せなくなってしまったぞ。どうしてくれるんだ」と怒っている。
「え?」
「佐藤くんは、『決勝戦で投げるより、ゲームをしていたい。今日の試合は投げません』と言っているんだ。話によると、君が無理矢理ゲームをやらせたらしいじゃないか」
「無理矢理ではないですよ」
「そうか。しかし困ったことに、野球部を辞めて、ゲーマーの道を突き進むと言っているぞ。実は、さっき佐藤くんから退部の意思を伝えられたんだ」
「…そいつは困ったな」
なんてこった。これは俺のせい…なのか?
「で、理事長に伝えたら『じゃあ、宮本くんを代わりに投げさせろ。宮本くんには責任を取る義務がある。拒否したら退学だ!』と激怒している」
「え? え? なぜ、その流れに?」
「さあ、今日の試合で投げるんだ」
「嫌だ! 嫌ですよ!」
「拒否すれば退学になるんだぞ」
「嫌です!」
「投げてくれ! 君が投げないと、理事長から怒られるのは私なんだから。決勝戦で投げてくれたら、お望み通り退学しても構わないからさ」
「いやいや、退学を望んでないですよ」
「じゃあ、投げてくれ」
「えー!」
で、結局、俺は甲子園の決勝戦で投げることになった。帰宅部なのに。
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