雨上がりの奇跡

4/4
前へ
/4ページ
次へ
 山の頂上に家がある俺は、学校まで走って通学している。  途中で、大きな森を幾つも通過したり、断崖絶壁をロッククライミングしたりして、常に危険と隣り合わせの道のりだ。   毎日、襲ってくる獣に岩石を投げて退治しなければならない。退治するためには絶妙なコントロール、そしてタフさが不可欠だ。きっと、日々のハードな通学が決勝戦の完全試合をもたらしたのだろう。 「ありがとう、佐藤」  俺は歓声に包まれるグラウンドから、雨上がりの空にもう一度だけ映った、佐藤の幻に微笑んだ。    時は流れ、俺は年俸10億円のプロ野球選手に、そして佐藤はゲーム会社を作り億万長者になった。    毎日が楽しい。いつも心の中は、雨上がりの空のように爽やかだ。    (了)
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加