4人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
ある嵐の午後のことである。
その日も、デイモンはいつものようにエミリーの別荘に訪れた。
エミリーと数時間過ごした後、天気が悪いからと、デイモンは早めに妻子の元へ帰る事にした。
車に乗って帰路に着いた訳だが、妻から貰った腕時計をエミリーの別荘に忘れた事にデイモンが気付く。
妻から貰って以来ずっとつけている腕時計。
なければ妻から何かしらの疑いをかけられるだろう。
嵐の中、もう一度戻って腕時計を取りに行くのは億劫だが、仕方がないとデイモンはため息をついて車の方向を変えた。
雨は激しく車窓を叩き、稲妻が空を裂いては雷が低く唸る。
こんな天気に来るんじゃなかったとデイモンは後悔した。
エミリーの家に着くと、デイモンはそそくさに玄関まで行き、ドアを叩いた。
中からバタバタと足音が聞こえる。
エミリーの都合が悪い時に来てしまったのかと思い、デイモンは外で待った。
ところが、いつまで経っても扉が開く気配はなかったのである。
不審に思ったデイモンはドアノブを回した。
最初のコメントを投稿しよう!