嵐の夜に

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 ドアに鍵はかかっていなかった為、デイモンは容易く中に入る事ができた。 「エミリー、いるか?」  問いかけるが返答はない。  部屋も真っ暗だ。  エミリーは出掛けたのかと思ったが、さっき確かに物音がして、こんな天気に外出する筈もない。  デイモンは固唾を飲んで部屋の中へ進む。  エミリーはリビングのソファーにもたれていた。 「何だ、寝てたのか」  デイモンは安心して、寝室の机に残された腕時計を回収する。 「じゃあ、帰るな」  再びリビングを通過する時、小さく言った。  寝ているから返事はないかとデイモンは苦笑する。  ちょうどその時、稲妻が部屋を明るく照らした。  その直後に今までより一際も大きい雷の音が鳴り響く。  別荘全体をも揺らす勢いだ。  流石にエミリーも起きるだろうとデイモンはソファーの方を向くが、エミリーは一向に動かない。  デイモンはやや暗闇に慣れた目を凝らす。  そしてエミリーの名を呼びながらソファーに近付いていく。  エミリーはやはり反応しない。  その時、稲妻が再び部屋の暗闇を晴らした。  デイモンは小さな悲鳴をあげる。  稲妻に照らされたエミリーの顔は尋常でないほど蒼白で、苦痛に歪んでいたからだ。  更に、首はありえない様な方向に向いており、デイモンの恐怖心を煽った。
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