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いつしか風が強くなり、雨粒がぽつりぽつりと落ちた。
最悪な天気に最悪の巡り合わせだ。
デイモンは必死に、家の中に駆け上がりたいという衝動を抑えた。
デイモンとエミリーの関係は誰にも知られてはいけないのだ。
だから今入ってはいけない。
やっと男が家から出る。
エミリーと熱いキスを交わし、また来るとだけ告げ、車に乗り込んだ。
風が強い為か、エミリーはなびく髪を押さえ、男が出発するとすぐに扉を閉めた。
その動作はデイモンにとって、誰かに見られない様に振る舞っている風に感じた。
遠ざかるエンジンの音を聞きながら、デイモンは激しく扉を叩く。
「誰?」
エミリーは不機嫌そうに扉を開ける。
デイモンの姿を見て首を傾げた。
「あら?デイモン?どうしてここに?」
焦る訳でもなく、申し訳なさを含んでいる訳でもないエミリーのきょとんとした様子にデイモンの怒りは爆発した。
「エミリー!!よくも俺を騙したな!!」
「な、何のこと?というか、どうしてそんなに濡れてるのよ。車は?」
エミリーはキョロキョロする。
「話を逸らすな!!俺がいないと思って男を呼んだだろ!!」
「男?何の話?」
「ふざけるな!!!!」
デイモンはエミリーの腕を鷲掴みにして、家に上がった。
痛い痛いと暴れるエミリーを荒々しくソファーに投げ出す。
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