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「俺から受け取った金で暮らしておいて、また別の男に手を出すのか!!」
「ねえ、さっきから何の話して……うっ!!」
デイモンは両手で、力一杯エミリーの首を絞める。
許せない。
デイモンの脳裏にはこの言葉しか思い浮かばなかった。
必死に抵抗するエミリーの首を捻じ曲げる。
エミリーが動かなくなるまで一瞬だった。
顔面蒼白となってソファーに横たわるエミリーを見て、デイモンは冷静になる。
「俺は、悪くない。俺を騙したこの女が悪いんだ。俺の人生はここで終わってはいけない。この女のせいで……」
デイモンは震えながらこの後どうすればいいかについて考える。
指紋を消せば良いのだろうか。
可能ならばさっきの男に責任転嫁したい。
仮に出来ないとしても、疑いは自分の身には降りかからないだろう。
自分は名の知れた弁護士であるのに対し、エミリーはただの小娘だ。
二人の関係を知る者はいない。
そう、だから誰も自分を疑ったりしない……
そこまで考えるとデイモンは狂った笑った。
エミリーを殺したところで自分に何の責任もない!!
全てはエミリーとあの男のせいだ!!
自分は、何も悪くない!!
稲妻が走る。
その後に雷が鳴った。
今日も嵐か、ついてないなとデイモンはうんざりする。
ふとデイモンの目は壁にかかった日付けカレンダーに釘付けになった。
昨日の日付けが消されていないからだ。
過ぎた日の枠に斜線を入れる、エミリーは毎晩それをする。
それなのに昨日の日付けが消えていない。
デイモンは不審に思った。
消し忘れということもあり得る。
だがデイモンはなぜかそう思えなく、嫌な予感が絶えず胸に渦巻いた。
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