嵐の夜に

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 デイモンは有名な弁護士である。  二十歳ちょっとで弁護士の資格をとり、若くして出世した。  現在は美しい妻、高校生の娘と三人で暮らしており、文字通り順風満帆(じゅんぷうまんぱん)の生活を送っていた。  そんな彼には家族に言えない事がある。  それは─── 「いらっしゃいデイモン。今日も来てくれたのね」  愛人、エミリーの存在だ。 「ああ、今日もいつものやつを頼むよ」  エミリーは微笑んでデイモンを家に招き入れる。  彼から外套を受け取り、ハンガーにかけた。  エミリーは青い目をした金髪の美女で、男なら誰でも欲しがる様なボディを持ち合わせていた。  彼女が、親子ほど年の離れているデイモンの愛人となった理由は他でもない、金のためである。  デイモンにだけ体を売る代わりに大金を手に入れる。  いわば商売の様な関係だ。  実際、エミリーの今の家、郊外に建てられている豪華な別荘もデイモンが与えた金で買ったものである。  月に一度か二度、デイモンはこうして車でエミリーの別荘にやってきて、数時間を過ごしてはすぐに妻子の元へ帰って行った。
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