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土曜日の朝、突然に
「ええっと……、あなたは……、裕利のお姉さんの……、博美さん……、でしょうか?」
裕利からのメッセージを見て、わたしは胸騒ぎを覚えながら急いで家に戻ってきた。
部屋には裕利の姿はなくて、代わりに彼にとてもよく似た女性が、彼のトレーナーとジャージを着てダイニングの椅子にひっそりと座っていた。
わたしの問いかけに対し、彼女は、残念そうに眉を寄せて首を横に振った。
なんだ、違うのか――。
とはいえ、ほかに思い当たる人物はいない。この女性は、裕利にとてもよく似ている。でも、彼には博美さん以外に女きょうだいはいないはずだ。
じゃあ、裕利の服を着てここにいるこの人は、いったい誰なんだろう?
続く言葉を発せられずに、わたしがむむうっと唸っていると、ちょっとかすれた低めの声で彼女が言った。
「やっぱり……、沙耶にも、そういうふうに見えてるんだ?」
「えっ?」
「わかんない? おれ……、おれだよ、裕利!」
「えっ……、ええーっ!?」
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