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誓い
バキ、ボキボキ、ゴリ、パキン。
ウテナちゃんは、殺人鬼によって、見事に解体されていく。
「人間の骨はね、とても固くて、しかも、スープの具材に出汁を採ろうとすると、さっぱりしてしまって美味しくないんだ。ろっ骨は、砕きやすいけど、心臓を傷つけるから、解体する時大変なんだよ。まぁ、慣れたら、簡単に解体できるんだ。ほら、見てご覧?大腸、まだ、湯気が出るんじゃないか位暖かいよ?冬だと、見えるよ?」
そうして、何時間、解体ショーを観たのだろう?
「よしよし。上手く解体できたよ~。これで、店に出せるよ!!」
すると、携帯電話を取り出し、誰かに電話する。
「こんばんは!悪いね!寝てた?悪い悪い。今、解体したよ。明日か明後日、加工肉取りに来てくれ。味は、最高だよ!いや、嘘じゃあない。また、連絡くれるかい?分かった。おやすみ!!」
そして、電話を切る。
「カエデちゃんはどんな味がするか、楽しみで仕方ないな」
「ひっ!!!!た、食べないでください……ひ、ひぐ!!お願いします……。う、うわ〜ん!!!!」
ワタシは、泣きじゃくる。
どうして、こんなことになってしまったんだろう?
家族を思い出す。
お母さん、お父さん、ごめんなさい。
こんな馬鹿な娘でごめんなさい。
死ぬ前に会いたい。
もう一度、お母さんのご飯食べたいよ。
お父さんと、また、ドライブしたいよ。
「カエデちゃん。まだ、生きていたいかい?」
黒い穴のような目で、ワタシを見る。
吸い込まれそうな瞳だ。
「ば、ばい!!ひっく、ひく!!まだ、いぎでいだいでず!!」
「そうかい。なら、お願い聞いてくれる?」
「ば、ばい!!なんでもぎぎまず!!!!」
ワタシは、泣きじゃくり、真剣に聞く。
死にたくないよ!!まだ、生きていたい!!もう、逆らうなんてしない!!!!
殺人鬼、りょうすけが、言う。
「友達を売ってよ?そしたら、延命させてあげるよ?どうする?やるかい?助かりたいなら、私に売りなさい」
ワタシは条件をつけた。
「友達、売ったら、ワタシを殺さないと誓ってください!!!!お願いします!!!!」
殺人鬼は、三日月のような笑みを浮かばせた。
「よし。いいよ。カエデちゃんは殺さないと誓ってあげる」
ワタシの提案をのんでくれた。
聞き間違いがないように、再度、聞く。
「ほ、ほんとう?ですか?ほんとうに、ころさない?」
黒い穴の目の殺人鬼に、僅かに光が灯る。
「あぁ、殺さないと誓ってあげる。ただし、逃げようとしたら、殺すぞ?私に歯向かうのも、駄目だ。そして、家にも返さない。ここで暮らすと誓えよ?いいかい?約束出来るかな?」
このアパートで、ワタシは、飼育される事に決めた。
もう、諦める。
この殺人鬼は、イカれている。
ワタシも、イカれてしまった。もう、戻れない。
「……………わ、分かりました。これからよろしくお願いします。ご主人様……。旦那さまと呼んでいいですか?」
ツボに入ったらしい。
アハハと殺人鬼は、笑う。
「良いね、それ。じゃあ、これからよろしくね。カエデちゃん」
そして、ワタシは、仲介役になってしまった。
取り上げられた、ワタシの携帯電話を返してくれた。
ワタシは、考える。
この殺人鬼、いや、ご主人様にどう喜んでもらえるかと。
そして、決めた。
彼女、いや、彼女達を、ご主人様に捧げる事に決めた。
そして、連絡する。
ワタシは、壊れてしまった。
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