爆弾パニック

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 展示会からしばらく経った頃。  ひとり暮らしをしている悠希が、会社帰りに部屋へ寄って欲しいというので私は定時に上がり、悠希の部屋の中で待っていた。  部屋の隅には1つの段ボール。  あぁ、実家から宅配で送られてきたのね。  送り状の品目には、菓子、野菜……。  展示会の後、横浜支店からの風の噂が元で、本社の皆んなに私たちが付き合っていることがバレた。  一時は冷やかされもしたし、妬まれもした。  (悠希は割とモテるらしい)  だけど、最近では特に周りの目が気にならなくなった。  それは、悠希が毅然とした態度で交際を認めてくれているからのようだ。 「愛菜ごめん、お待たせ。実家で採れた野菜を大量に送ってきてさ。こんなにひとりで食べきれないから、貰って欲しくて」  と、帰ってきた悠希が冷蔵庫から出してくれた野菜は、トマト、茄子、ピーマン……ししとう。 「……特にししとうが豊作だったらしくて……大丈夫?」と気遣ってくれる悠希。 「うん、大丈夫。きっと悠希に美味しく食べて欲しくて、愛情たっぷりに育てられているから辛くないよ。ありがとう、いただきます」  10個に1個の確率で辛いと言われるししとう。  恋愛もそのくらいの割合で刺激があったほうが、上手くいくものだったりして。  平気だ平気だ、と油断していると、痛い目に遭うのかも。 「さて今日はこの野菜を使って、夕ご飯でも作りますか」  辛いものも全部、美味しくいただきます。  ……あの時ほど辛いししとう(刺激)は、勘弁してほしいけどね。 (おしまい。ししとうを加熱する時は、先に縦に包丁で切り込みを入れておきましょう。やっておかないと、別の意味での爆弾になります)
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