第1章

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 そして、挙式の日を迎えて。  リューデル王国で一番歴史があるという大聖堂。ここは、王族や高位貴族が挙式をする際に使用されている場所。  ローゼリーンはここで初めて夫となるバーグフリートと対面し、永遠の愛を誓った。……まったく、そんな感覚はないのだが。 (だって、バーグフリートさまは私と目も合わせてくださらなかったわけだし)  挙式の際中。彼はローゼリーンを見ようとはしなかった。ずっと別のところを見ていて。  さすがのこれには、ローゼリーンも少しの不満を抱いてしまった。  それから、小規模ではあるものの披露宴を開いた。本来ならば、ローゼリーンは大規模なものを開く立場だ。  しかし、それをほかでもないローゼリーンが拒否したのだ。 『そんな大々的な披露宴など、いりません。身内だけの小さなものがよろしいです』  披露宴の内容を決めるとき。ローゼリーンはそう意見した。  そこには、いくつかの考えがあった。だが、一番大きなものは――バーグフリートに負担をかけないためだ。 (彼は辺境のいざこざを治めたばかり。少しでも、ゆっくりとしていただきたいわ)  後処理の所為で全く会えていないが、ローゼリーンの中ではそれなりにバーグフリートに対する情が生まれていた。 (彼はお忙しい人だものね。だったら、負担は少しでも軽くしたほうがいい)  英雄とは、戦場などに行けば、それなりに相手に負荷を与える立場だ。  けれど、本人だって重荷を背負うことになってしまう。ローゼリーンは、それが心配だった。  だから、大々的な披露宴はやめて、小規模な披露宴を選んだ。  会場には軽食もあったのだが、あいさつ回りで忙しいローゼリーンは一口も口に入れることが出来なかった。  そのため、料理人に頼んで晩餐を用意してもらった。  バーグフリートに必要かと聞いてみれば、彼も頷いてくれた。というわけで。ローゼリーンは彼と共に食事をすることにしたのだが。 (少しでも、お話しできると嬉しいわ)  そう、思っていたのに。  ――食事の席で、会話はこれっぽっちも弾まなかった。  ◇
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