第1章

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「さようでございますか。ですが、ご無理だけはなさらないでくださいませ」  頭を下げて、テレサが持ち場に戻っていく。ローゼリーンは、ステーキをもう一度口に運ぶ。 (少しくらい、私とお話してくださっても構わないじゃない)  バーグフリートは素っ気ない。その所為なのか、ローゼリーンの中にある彼への好感度は、上がっていなかった。  ゼロのまま……いや、ゼロは言い過ぎだろう。情があるのだから、せめて十くらいはありそうだ。 (百を高感度マックスとすると、本当十くらいだわ。私はお話が好きなのに)  貴族の食卓とは、厳かな空気の場所も多いと聞いたことがある。でも、ローゼリーンの実家は違う。  身内だけの場合は、それなりに楽しく話をしていたのだ。……なのに、彼ときたらどうだろうか。 (私とちっともお話をしてくださらないわ!)  食事は美味しいのに。……ちっとも、楽しくない。ローゼリーンは、それが不満だった。
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