序章

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(だからこそなお、ちょっと困るのよねぇ)  もう一切れ、ステーキを口に運ぶ。  ローゼリーンは王族の血も引いている。だから、人に見られてする食事には慣れていた。  ……それでも、さすがに。これから住む邸宅で、こんなにも見つめられるのはたまったものじゃない。 (家でくらい、ゆっくりと食事がしたいわ)  そう思うと、実家が恋しくなる。  でも、そんな弱音を吐くことはできない。  だって、ローゼリーンは彼に強く望まれて嫁いだのだから。  いわば――彼にとって、褒賞品の一種であるのだから。
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