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それは、ローゼリーンが婚姻するほんの一年前に遡る。
ローゼリーンの母国であるリューデル王国は、資源が豊かな国だ。それゆえか、度々近隣の国が攻め入ってくる。
この数ヶ月前。南を面する血気盛んな国との争いが終戦を迎えていた。
勝ったのはリューデル王国であり、多額の賠償金を請求。さらには、こちらに有利な平和条約を締結することも出来た。
多少の被害はあったものの、被害は国が想定していたものの半分ほどで終わったそうだ。
そして、その戦での立役者。その名前は、大々的に新聞に載る。
――ハーグフリート・グリューン。
生家は最近落ちぶれ始めたと囁かれる伯爵家グリューン家。立場は次男坊。
鋭いサファイア色の目と、光一つ通しそうにない漆黒色の髪の毛が特徴的な男性。
彼はこの戦で多大なる功績を上げたため、『英雄騎士』と褒めたたえられていた。……が、その半面。
一部では、こう囁かれている……らしい。
『血も涙もない死神騎士』だと。
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