第1章

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 それは、ローゼリーンが婚姻するほんの一年前に遡る。  ローゼリーンの母国であるリューデル王国は、資源が豊かな国だ。それゆえか、度々近隣の国が攻め入ってくる。  この数ヶ月前。南を面する血気盛んな国との争いが終戦を迎えていた。  勝ったのはリューデル王国であり、多額の賠償金を請求。さらには、こちらに有利な平和条約を締結することも出来た。  多少の被害はあったものの、被害は国が想定していたものの半分ほどで終わったそうだ。  そして、その戦での立役者。その名前は、大々的に新聞に載る。  ――ハーグフリート・グリューン。  生家は最近落ちぶれ始めたと囁かれる伯爵家グリューン家。立場は次男坊。  鋭いサファイア色の目と、光一つ通しそうにない漆黒色の髪の毛が特徴的な男性。  彼はこの戦で多大なる功績を上げたため、『英雄騎士』と褒めたたえられていた。……が、その半面。  一部では、こう囁かれている……らしい。  『血も涙もない死神騎士』だと。
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