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土砂崩れ
テレビをつけたおれは、口を開けっぱなしでその光景と手元のスマホを交互に見ている。
『N県で土砂崩れ発生しました』
「あの山に突き落としたのに」
来るはずがないラインが届いて。おれは二度パニックに陥った。
“穣くん、なに驚いているの?”
まるで間抜け面を間近で見ているようなメッセージにおれは閉めきったカーテンを開け、意味なく周囲をウロウロしだす。
「郁、ふざけるのもいい加減にしろよ!!」
神崎郁を確かにこの手で突き落とした。
ラインの通話音が鳴る。オーディオ通話の相手は神崎郁。
「もしもし」
おれは震えている右人差し指で通話ボタンを押していた。
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