聖剣 ②

3/3

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
「ユアン様!」  その時、突然バルコニーの護衛兵が叫んだ。  「ココラルがすごい勢いでこちらに飛んできております!」  ユアンがハッと顔を上げると、確かに一匹のココラルがまっすぐ城に向かって、いや、ユアンのいるバルコニーに向かって飛んできていた。  「あれは…」  ココラルはあっという間にバルコニーから王の寝室に飛び込むと、ゆっくりと床に着地し、羽をしまってユアンの元に駆けつけた。 「やはり、トウか」  ココラルが部屋に入ってきたことで緊張が走った護衛兵たちに、ユアンは「大丈夫だ」と言い、トウの頭を撫でた。 「どうした、トウ。シュウに何かあったのか?」  トウの首には白い布が巻かれており、トウはそれを取るようにとユアンに促した。ユアンはその白い布を取ると、中に入っていた手紙を取り出した。 「ユアン、それは確か君の息子のシュウが助けたココラルだったな。何かあったのか」 「いえ、ルシフ様。ご心配には及びません。単なる私事です」 と、ユアンは手紙をたたんで懐に押し込んだ。トウは早足で部屋の中をぐるりと歩いた後に再び羽を広げ、あっという間にバルコニーから外へと飛び出して行った。 「驚かせてしまい、申し訳ありません」 と、ユアンはルシフの枕元に跪いた。 「私の最期の時をココラルが知らせに来たのかと思ったのだが、な」 と、ルシフは笑みを見せた。 「そんな、滅相もない」 「良いのだ、ユアン。そんなことよりも、急ぎの用事なのであろう?早く行ってあげなさい」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加