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「カインは、何かをお前に話したか?」
「影の住人がクスラ国王ナバルに取りつき、ナバルがこの世すべてを己のものにしようとしている、と。そして、聖剣を、と言って果てました」
シュウは俯いたまま淡々と答えた。
「ナバル…」
ユアンの顔が曇った。
「なぜ、カイン殿が死ななければならなかったのですか?」
シュウはそう言いながら、ゆっくり顔を上げた。そして目の前に立つ父親を見上げ、その悲しげな顔をじっと見つめた。
「クスラ国を探るために、カイン殿を潜らせていたのでしょう?父上が命じられたのですか?」
シュウは口調が鋭くなってしまうのを止めることができなかった。ユアンの心情は、その表情から痛いほど伝わっていたが、自分の中にふつふつと湧いてくる制御できない怒りを押しつぶすことはできなかった。
「お前!」
と、ハクトが早足でシュウに近づき、シュウの襟元を掴んで無理やり立ち上がらせると、思い切り頬を殴りつけた。シュウは地面に倒れ込んだ。
「父上に何という口をきくんだ。家を出たお前に、そんなことを言う資格などない」
「ハクト、やめなさい」
ユアンは、倒れたシュウに近寄ると、シュウの肩に優しく手を置き、顔を覗き込んだ。
「お前の言う通りだ、シュウ。私が命じたのだ。私がカインを死なせてしまった」
ユアンの目の中には、悲しみや後悔、怒り、自己嫌悪といったあらゆる思いが渦巻いていた。その視線を真正面で受けながら、相変わらず正直で 不器用な人だとシュウは思った。
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