ポニーテールとバトン

荷物を運び出して殺風景になった部屋を見渡す。
ふと本棚に残したままのアルバムが目に入った。

私は、なんだか懐かしさを味わいたくなって、それを手に取った。

アルバムを見るなんて、いつぶりだろう。

重たい表紙をパタンと開く。

そこには生まれたばかりの私を抱いて、目を細める若かりし頃の母。危なっかしい手つきで私を沐浴させる、今より髪がフサフサの父。

感慨深くページをめくっていく。

そして私の手は、あるページで止まった。

そこには、幼稚園生の私が友達3人と横一列に並んでいる写真があった。
頭にはハチマキ、胸には幼稚園の名前がプリントされたゼッケン。

少しずつ蘇ってくる記憶。

周りの大人たちを騒然とさせた、わたし至上最大の汚点。

それが幼稚園対抗リレーだった。