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 ミゲルはため息をつきながら、カンノーンのコックピットに乗り込むと、照明の柔らかい光がコックピットの内部を照らした。 「うっ! こ、これは……」  ミゲルがコックピットの内装に戸惑っていると、「ヴンッ」と低い電子音が響き渡り、彼の前にエドのホログラムが立ち上がった。 「よお、カンノーンのコックピットの感想はどうだい?」  カンノーンのコックピットの内部は最新技術の結晶である。ミゲルの前方には鮮明な映像や操作パネルが全てホログラムで表示されていた。先代のアシュラサマーでは、ホログラムは使われていなかった。  HSの最新型を名乗るに相応しいほどの進化ぶりだ。  だが、ミゲルが戸惑ったのは技術の進化ではない。彼は顔を引きつらせながら、口を開いた。 「操縦レバーが多すぎる。どのレバーがどうなっている?」  コックピットの壁や足元を埋め尽くすように、数多の操縦レバーが配置されており、ミゲルは圧迫感を感じた。  映像や操作パネルが全てホログラムである理由は、操縦レバーのせいである事がすぐにわかった。  エドは口角を上げ、自信を滲ませた。 「あぁ、それらはアームの操縦レバーだ。およそ1000個はある。ミゲルっちならすぐに慣れるから、大丈夫だ」 「2本の腕でおよそ1000個のレバーを使いこなせる訳がないだろう。俺は千手観音様ではない」 「…………がんば!」  エドは無責任な声援を送り、映像を絶った。コックピットにホログラムの微かな粒子音だけが広がる。 「はあーあ、とにかく、カンノーンを動かしてみるか」  ミゲルは溜め込んだ憤りを吐き出すように、深いため息をつきながら、操作パネルのホログラムに手を伸ばし、キーを叩いた。
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