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 カンノーンの背中からプシューっと音が鳴ると、蒸気が立ち上り、その中からミゲルが身を乗り出し、姿を現した。彼の顔には緊張の色が浮かび、汗が光っていた。カンノーンから外に出たミゲルは、エドの前に詰め寄った。 「カンノーンが歩き出したら急にバランスが崩れたぞ……どういう事だ?」  ミゲルの声には苛立ちが混じっていた。 「2本の脚で1000本の腕の超重量を支えるんだから、普通に操縦したら倒れるのは当然だ。全身のバランスに気をつけないと」  エドは笑顔で今更な事を言い出した。 「あのな! そもそも腕は2本で十分だ! 6本の腕と3つの頭を持つアシュラサマーの操縦も大変だったんだぞ! 冷静に考えて、およそ1000本の腕を持つ機体の操縦なんかできるかっ!!」  ミゲルは不満を爆発させた。彼の声はエコーのように広がるだけだった。  それから次の日。  他のHS部隊が隕石ファンクラブの襲撃を撃破。ミゲル率いるカンノーンが活躍する事はなかった。  センジュカンノーンが戦場に姿を現し、活躍するのは、それから1年後の話である。  大仏連邦と反仏連合の戦いはこれからも続く。戦いの行方は誰にもわからないが、彼らの勇気と決意は揺るぎないものであった。 ー完ー
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