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和国の北の大地に、大仏連邦の開発研究所が存在する。
ここには大仏連邦の秘密兵器であるHSの最新型の研究がこっそり行われていた。
研究所の廊下を、筋肉質な若い男がキョロキョロと頭を動かしながら歩いていた。彼の名前はミゲル。彼の鋭い目つきは、何かを探しているようだった。
「よぉ、ミゲルっち。ここで何してんの?」
海パンの上に白衣を羽織り、浮き輪を肩にかけた金髪で中年の男が若い男こと、ミゲルに声をかけてきた。研究所の雰囲気にそぐわないその姿は、滑稽だった。
「なんだ、エドか」
ミゲルは海パン姿の彼の名前を呟いたあと、腕を組みながら口を開いた。
「こないだメンテナンスに出したHS『アシュラサマー』を取りに来た。研究所をくまなく探し回ったが見つからないんだ。どこへ行ったか知ってるか?」
ミゲルはHSアシュラサマーのパイロットであり、エドはHSの開発兼整備士である。
ミゲルの質問を聞いたエドは目を細め、一瞬だけ浮き輪を震わせた。
「あ、そういえば!」
エドは何かを誤魔化すかのように、手をパンを叩いた。
「ミゲルっちに見せたいモノがあるんだ!」
「そんなものは興味ない。それよりも俺のアシュラ……」
「まあまあ、そんな事言わずについて来なって」
エドはそう言うと振り返り、スタスタと早歩きを始めた。
「お、おい! ……ったく、しょうがないなぁ」
ミゲルは頭をポリポリと掻きながら、ミゲルの後を追う。
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