メイカちゃんは電気に強い

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 手枷を掛けられた少女を前に、バスローブのみを纏った男が今にも跨ろうと立ちはだかる。  寝室の側面に沿って置かれたダブルベッド。その上に少女は座っていた。  ぶかぶかのシャツだけを身にまとい、手には金属製の手枷を掛けている。季節柄なにも履かないと少し冷えるのか、はたまた金属製の手枷で手が冷えたのか、純白のシーツを肩から羽織り眼前の男を見つめていた。  貴族特有の風船のように蓄えられた脂肪が少女の眼窩に映る。  男の歳は五十代程。羽織られたバスローブには、未だ生温かい深紅の血液が滲んでいる。  男の手の内に道具は無い。素手のみで陵辱するのか、ゴツゴツとした甲を撫で、少女に対し醜悪な笑みを浮かべている。  それを受けても尚、少女に逃げる意思は無かった。その小さく脆弱な身体でただそれを受け入れようと、男の欲望を受け止めようと座っていた。  少女、人によっては幼女と形容する者が居ても何らおかしくないその幼い女は、徐にシーツをはだけ始める。  次に視線を上げ、男の顔を上目遣いで眺めると静かに瞼を閉じた。  次の瞬間、男は少女を押し倒し倒れ込んだ。  ――男が少女に跨り覆い被さる。  その巨体と太い腕が勢いよく少女の真横に振り下ろされると、ベッドが軋み、体を預けた少女の綺麗な長髪がまばらに宙を舞った。 「触るぞ……」  耳元で吐息混じりの小さな声が呟く。  また、男の額からは汗が垂れ、少女の幼い顔にぴちゃぴちゃと音を立ててかかる。  しかしそれらにも動じず、少女は我が身を動かさないでいた。  男はその姿に少し口を緩ませながら、少女のキメの細かい柔らかな頬に触れる。 「んっ!!!」  その瞬間、身体中に痺れるような強い衝撃が巡り、未だかつて味わった事の無い快感が襲った。  抑えようと頭で思っても、つい声が出てしまう。そんな様子であった。  寝室に響いたそのか細い声を聞くと、先程まで落ち着いていた対者の性格は一変し、内に秘められていた本性が姿を現し始める。 「……もっと声を出せ! 可愛い声で鳴け!」  男の手は頬からスルスルと下っていくように撫でられ、引き締まっていながらも健康的な様が伺える艶やかな腹部に触れる。 「んっ……っ……」 「もっとだ! もっと鳴け!」 「もう……ダメっ……」 「もう音を上げるのか? まだ身体に触れているだけじゃないか」 「だって、だってでんきがぁっ……!」  寝室に〝男〟の弱々しい喘ぎ声が響く。  男は仰け反り少女から勢いよく手を離すと、その巨体をベッドに預けて醜く痙攣させた。  少女の身体に触れていた男の手は、赤く色付き焦げた様な臭いを発している。  少し手を触れるだけで身体中を強い電撃が駆け巡る。  何度も何度も。触れては痺れ、触れては身体を仰け反らせる。  少女から発された強力な電流は、ドM趣味のこの男にとっては打って付けの様だった。 「音を上げるのが早いぞ……この豚が!」 「すっ……すみません!」  声を張り上げ罵声を浴びせる少女に、男は女々しく深々と頭を下げた。  それを見下して笑う少女の名はメイカ。  生まれつき身体から強力な電気を発することが出来る特異体質の持ち主である。  この物語は、電気に強いメイカちゃんが名だたる有力貴族達を屈服させて大金を稼ぐお話である。
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