◆課題5_一年後「もう中学生だから」

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◆課題5_一年後「もう中学生だから」

人 物 高原由美子(27)会社員 柳田由紀夫(36)由美子の兄 柳田翔太(12)柳田の息子 ○高原家玄関・中(夕)    ピンポンと呼び鈴が鳴る。高原由美子(27)が玄関まで出て、ドアを開けると、柳田由紀夫(36)と柳田翔太(12)が雪をかぶった姿で立っている。 由美子「お兄ちゃん、翔太くんいらっしゃい。外、寒かったでしょ。さ、中入って」 柳田「ありがとな。翔太、挨拶は?」 翔太「こんばんは。よろしくお願いします」 由美子「こちらこそ。去年よりしっかりした気がする。今、何年生だっけ?」 翔太「いまは6年生です。」 由美子「もう6年生か。あっという間だね」    由美子と翔太はニコッと笑う。 〇高原家リビング・中(夕)    由美子と柳田、翔太はこたつに入りミカンの皮をむいて食べながら話す。 柳田「由美子、今年も翔太を預かってくれてありがとな」 由美子「いいよ、かわいい甥っ子を預かるぐらい。毎年のことだし。」 柳田「助かるよ。どうしてもこの時期は出張に行かなきゃなんなくて……」    由美子と柳田が話していると、翔太は自分のリュックからトランプやボードゲーム五つ程こたつの上に出す。 翔太「ねえ、おばちゃん。またいっぱい遊ぼうよ。楽しみにしてたんだ!」 由美子「いいねえ。手加減しないからね!」 由美子は腕まくりし、翔太は目を輝かせて笑う。柳田は微笑む。 〇高原家玄関・中(夕)    ピンポンと呼び鈴が鳴る。由美子が玄関まで出て、ドアを開けると、翔太が眼鏡を曇らせたまま顔を逸らして立っている。 由美子「……?翔太君、だよね?」 翔太「……どうも」 翔太は由美子と目を合わせずに呟く。由美子は一瞬固まり目を見開く。 由美子「……なんだか、雰囲気変わっててびっくりしちゃった。背も高くなったし、眼鏡もかけて。お父さんは?」 翔太「……もう中学生だから、一人でいってこい、って」 由美子「あ、そっか。もう中学生になったんだね。……さ、外は寒いし、入ろっか」 〇高原家リビング・中(夕)    翔太はこたつに入ると、スマホをポケットから出して、スマホを操作する。 由美子「翔太君、久しぶりだね。今年もお父さんの出張の間、よろしくね」 翔太「ああ、はい……。」    翔太は由美子に見向きもせずスマホの画面を見続ける。由美子は翔太を見て、ため息をついて小さな声で呟く。 由美子「……もう中学生だもんね」
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