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◆課題7_兄妹姉妹「段ボール」
人 物
森田華子(55)主婦
森田風花(24)大学4年生
森田疾風(20)大学1年生
配達員
○森田家の玄関・中(朝)
呼び鈴が鳴る。森田華子(55)は洗濯物を干すのを中断し、玄関に向かいドア開をける。
華子「はあい。なんでしょう」
配達員「お届け物です。森田疾風様宛のお荷物です」
華子「あら、また疾風、何も言わず頼んで」
華子は眉間に皺を寄せながら、伝票にハンコを押す。配達員が会釈して去る。
華子「まったく、何回も受け取る身にもなってよね……あら?」
玄関のドアを閉めようとした時、華子はドアの外に『森田風花様』の宛名のシールが貼られた段ボールを見つける。
華子「さすが風花、置配にしたのね」
華子は眉間の皺を緩め、風花の荷物を玄関の中に入れる。疾風と風花の荷物をリビングまで持っていき、机の上に置く。
〇森田家のリビング・中(夕)
森田風花(24)がリビングに入ってくる。
風花「ただいまー」
華子「おかえり。荷物届いていたわよ」
風花「ありがとー。助かるわあ」
華子「何頼んだの?」
風花「収納グッズ。省スペースになるやつ」
華子「もう充分綺麗に整頓できてるのに、まだやるの?」
風花「いや、まだまだ改善の余地あるからね。地震対策もしないと」
華子「さすが、しっかりしてるわね」
〇森田家のリビング・中(夕)
風呂上りで髪を乾かした後の風花が、ソファーに座って白湯を飲む。華子は洗い物をしながらそわそわする。
風花「あれ、疾風まだ帰ってきてないの?」
華子「そうなのよ。もう、夕飯いるんだかい
らないんだか……」
風花「疾風のヤツ、何してんのかね。じゃ、私明日早いからもう寝るね。おやすみ」
華子「おやすみ」
〇森田家のリビング・中(夕)
森田疾風(20)がスマホをいじりながらリビングに入ってくる。華子は洗濯物をたたむのをやめる。
華子「疾風!遅かったじゃないの。ご飯は?」
疾風「あー、食べてきたからいらない」
華子「もう!それなら、早く連絡してって言ってるでしょ!作っちゃったじゃない」
疾風「あー、うん」
華子「あと、荷物届いてたわよ。最近荷物多すぎるわよ。一回にまとめるとかして」
疾風「あー、うん」
華子「ちょっと、聞いてるの?疾風ったら!」
疾風は上の空でスマホをいじったまま自分の部屋に行く。華子はため息をついて肩を下す。
〇森田家の玄関・中(朝)
華子が掃除機を持って玄関に繋がる廊下に出ると、紐で十字に縛ってある段ボールと、中に発泡スチロールが入ったままの段ボール箱を見つける。段ボール箱には『森田疾風』の宛名シールが貼られたままである。
華子「まったく……後始末も、姉弟でこんなに差が出るものなのね」
華子はため息をついて少し笑った。
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