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(……当たり前じゃない……
……どれだけの人間が落選したと思ってるの……?)
この影は落選者の意識の集合体なのか。
そりゃ落選者はたくさんいるだろう。
私は、あえて毅然と意見した。
「君たちの気持ちはわかる。しかしだ。受賞というのは数が決まっているし、どうしてもあぶれる作品はある。これはどうにもできない。それに私は受賞がすべてだとは思わない。だって、エブリスタはネット上の小説サイトなんだぞ?好きなことを好きなだけ書けるのが最大の特徴だ。そうだろう?書くことの純粋な楽しさをどうか……」
しかし私の声は影に届かなかった。
さらに大きな風が部屋の中で吹き荒れる。
影は目を血走らせ、ますます怒りを増大させていた。
(賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい賞をちょうだい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
羨ましいの!受賞者が!
賞金!
褒め称えられた選評!
書籍化への可能性!
オレンジ色の受賞マーク!
何もかも
素晴らしく見えて……
「賞」を作り出したのは、あなたたちでしょう?
広告を打って
賞金を掲げ
受賞者を華々しく見せて
受賞に対する憧れを作り出し
作品を集めたのはあなたたちでしょう?
その賞にどうして執着してはいけないの?)
「な……」
確かに私たちは常に考えている。
どうしたらたくさん応募作が集まるか?
どうしたら応募作のクオリティがあがるのか?
どうしたらユーザーは「この賞の応募しよう」と思ってくれるのか?
『そうだ、賞金をつけよう!』
『受賞作には選評を書こう!』
『受賞作はすぐわかるようにマークをつけよう!それからそれから……』
「うわああああ!!!!!!!!!!!!」
私はエブリスタユーザーからの思念攻撃に発狂しかけた。こんなのをくらうぐらいならいっそサイバー攻撃をくらったほうがましだ!
「誰か!誰か!助けてくれ!そうだ!誰かエブリスタをサイバー攻撃してくれ!!!!」
私はパニックになり叫んだ。
「そしたらみんなしばらく妄想コンテストのことは忘れて楽になれるさ!な!?」
(……サイバー攻撃してくれですって……
……あはは……)
私の反応が面白かったのか、影は笑いながら消えていった。
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