※俺って酷い奴でしょ?

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※俺って酷い奴でしょ?

 ※直登side  貴哉達と別れて、数馬くんと二人で帰宅中、俺と春くんの話を聞きたいと言うから俺は数馬くんを連れて二人きりになれる場所に移動した。  場所は俺んち!きっとどこかのお店とかじゃ数馬くん入れないだろうから近場で考えたら家しかなかった。数馬くんちはちょっと遠いからね。  家に上がって俺の部屋にいる数馬くんはちょこんと正座なんかしてて、おかしくて笑えた。 「あはは、数馬くん何反省してるの。足崩しなよ」 「……誰かの家に行くなんて……初めてだから……どうしていいのか……」 「自分んちと変わらずくつろいだらいいんだよ。ほらクッションあげるから」  俺のお気に入りのゆるキャラのクッションを渡すと小さく「ありがとう」と言って、自分の隣に置いていた。一瞬で渡した意味が無くなったけど、数馬くんだから突っ込まないであげる事にした。   「とりあえず春くんとの話するねー?まず、春くんから告白されたんだけど、そん時の俺って既に貴哉の事が好きだったんだよ。それでもいいって言われたからオーケーしたの。ちょっと利用させてもらおうかなって思っちゃったの」 「利用って?」 「貴哉ってさ、あの天然っぷりでしょ?俺の好きに全然気付いてくれないのよ!だから春くんと付き合って気を引いてみようと思ってね。今思えばそんなやり方なんかしないで正当法で行けば良かったなって思うよ。そんな事するから空くんに取られちゃったんだもん」 「……戸塚は知ってたの?」 「もちろん。俺は貴哉が好きって伝えたよ。それでもいいって言われたから付き合ったんだ。春くんも見た目は悪くないしね」 「そうだったんだね……戸塚ってどんな奴なの?」 「お、気になるー?春くんは真面目な人だね。頭良くて正に優等生!口数は少ないけど、本当に優しくて居心地は良かったなぁ。エッチも上手かったな♡」 「……そう、なんだ」 「でもどこか物足りなかったかなぁ?やっぱり貴哉と比べちゃうんだよね。そしたらどんどん貴哉がいいって思っちゃって、結局別れちゃった。春くんは最後まで応援してくれてたよ」 「…………」 「俺って酷い奴でしょ?付き合ってなくてもかっこよければエッチとか出来ちゃうし。みんな王子って言うけど、どこが?って思う」  だから王子って呼ばれるのは嫌いだ。勝手に俺を想像で作り上げて盛り上がってるのにはうんざりする。そんな奴ら相手にしないけどね。  だから貴哉が良かった。俺に気を使う事なくそのままで接してくれたからね。  数馬くんに俺の事を話すと、ちゃんと聞いてくれた。引かれるかなと思ったけど、隠し事は好きじゃないからいつかは話したかった。  むしろ自分の全てを知って欲しいって思う。 「直登が羨ましいって思ってたけど、直登も辛かったんだね」 「ん?どしてー?」 「その綺麗な見た目で勘違いされて来たんだろ?何か似てるなって……あ、でも俺の場合はワザとそう思わせたくて作ってるだけだけど……」 「俺達全然似てないでしょ」 「そ、そうだよね……ごめん……」 「あー!謝ったなぁ!約束したよね?」 「あっその、ご、ごめっあ……」  慌ててる数馬くんはちょっとパニックになってるみたいだった。まぁこれが数馬くんだしな。でも約束は約束だからね。ここは俺の部屋だけど、チュッてキスしてやった。  すると、数馬くんは大人しくなった。 「ん……直登……」 「数馬くん。好きだよ」 「……俺、も……好き」 「でも付き合ってくれないんだろ?」 「それは……」 「ねぇ、もっとしていい?」 「うん……」  そっと目を閉じる数馬くんにまたキスをする。  数馬くんの気持ちは分かる。でも俺は早く正式に付き合いたい。早く自分の物にして、堂々と一緒に歩きたい。じゃないとまた誰かに取られちゃうんじゃないかって不安で仕方ない。  そっと離れて数馬くんのサイドの青く染まった髪を耳に掛けてあげると、ピクッと反応した。可愛いなぁもう♡ 「数馬くん、キスとかこう言う事は俺以外とはしちゃダメだからな?貴哉ともだよ」 「し、しないよ!……出来ないしっ」 「数馬が出来なくてもされちゃうかもだろー?俺嫌だからな」 「されないっ!されたら吐いちゃうと思う……」 「……マジ?言い過ぎじゃない?」 「本当だよ。これでもマシになったけど、過度の接触は今でも無理だよ。中学の時、ふざけてそういうのされた事あるんだけど、その場で吐いちゃって、しばらく家から出られなくなった事があるんだ……」 「ヤバいな!てか誰だよそんな事するの!ムカつくな!」 「えと、俺こんなんだからいじめられてたんだよ……教室は特別クラスだったんだけど、放課後とか待ち伏せされたり良くされたよ……」 「数馬くん……」  そんな事があったなんて……この話には驚いたな。確かにそう言う人っていじめの対象にはなりやすいだろうけど、ちゃんと高校に進学したとか奇跡じゃない?  今すぐにでもそのいじめた奴らに仕返ししてやりたい気持ちだけど、今は数馬くんの手を握ってあげた。 「数馬くん。頑張ったね♪これからはそんな奴ら俺がやっつけてあげるからね♡」 「直登……うん!ありがとう!」  涙目の数馬くんは嬉しそうに笑った。  まぁこの見た目じゃもういじめられないだろうけどね。  そして数馬くんは遠慮気味に喋り出した。 「あのさ、直登はピアスない方がいい?」 「え?あ、数馬くんが付けてるやつ?」 「そう」  そう言われて改めて数馬くんが付けてるピアスを見る。耳たぶ、軟骨が一番多くて数えるのも面倒なぐらい。顔には眉毛に二個、鼻に一個。そして今は付けてないけど、唇に穴が二個。  そうだなぁ、俺の好みは…… 「やっぱり耳たぶに一個ずつがいいかな♪軟骨にも一個ぐらいならお洒落でいいかも♪」 「じゃあそうする。穴は残っちゃうけど」 「もしかして、俺の好みにしようとしてるの?」 「う、うん!」 「数馬くん最高だよ♡だーいすき♡」 「お、俺も!大好きっ」  何かもうこれで付き合って無いってのが嘘みたいな関係だけど、可愛い数馬くんに免じてもう少し待ってあげようと思うんだ。
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