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山の水舐めてたわ
見事一位で岸に辿り着いた俺は寒くてブルブル震えながら待っていてくれた茜からバスタオルを受け取ってくるまった。
「秋山かっこよかったぞ!肉、たくさん焼いてやるからな!」
「おう……た、頼んだぜ……」
「貴哉やるじゃん♪ボラ部二連覇達成おめでと♪」
「それよりも早く着替えた方がいいよー?俺去年これやって風邪引いたんだから」
「そうする……山の水舐めてたわ」
七海に言われて一人でバスに向かう俺。
さっきの爺さんはどこかへ行ってるのか、ドアは空いてるけど、エンジンが止まってて冷房も消えてた。けど、今の俺にはちょうどいい。
さっさと着替えようとバスに乗り込んで、脱ぎ散らかした服が置いてある座席へ行くと、バスが少し揺れて誰か入って来たのが分かった。
爺さんが戻って来たか?
チラッと見ると爺さんじゃなかった。そこにはニヤニヤ笑ってる知らねぇ奴らが三人乗り込んで来てた。
んー、どっかで見たような?
「おい秋山、部外者の癖に一位獲ってんじゃねーよ」
「ほんと二之宮と似て生意気なんだよ」
あ、思い出した。こいつら確か茜が俺を連れて演劇部の挨拶回りした時にいた裏方の奴らだ。
なるほどな。俺の事が気に入らないって訳かよ。
俺はこいつらをシカトして着替えようと服を手に取る。その間に奴らの一人が近付いて来て俺の肩を押した。
「シカトしてんじゃねぇよ!」
「あ?触んな」
「なんだぁ?その態度!」
「なぁ、早くやらねーと誰か来るぞ」
「チッおいお前押さえてろ。お前はバスの外にいて誰か来たら教えろ」
先頭にいるのがリーダーってか?ちょうど良い。体が冷えてたから少し動いて暖まるか!
久しぶりに暴れようとしてふと思う。いや、今日って先生達いるんだよな?もし問題起こしたのバレたらヤバくね?佐々先とか俺の担任と話してるみてぇだし。
「おら大人しくしてろ」
「!」
リーダーに命令された男が前に出て来て俺の腕を掴んで引っ張った。あーもう、面倒くせぇなぁ。
「お前らもこんな事してるのバレたらやべーんじゃねぇの?」
「バレなきゃいいんだろ。今からお前を犯す。それを動画に撮るんだよ。もしお前がチクったりしたらそれを学校中に拡散してやる」
「犯す?お前らが俺を?何キモい事言ってんだ。ほらさっさとバス降りろ。着替えられねぇだろ」
「テメェ!舐めてんのか!?」
「いちいち相手してんな。ほら下脱がしてさっさとヤッちまおう」
「おう!」
こいつら本気か?一人は見張りに行ったから、相手は二人か。ちとマズいかもな。スマホは茜に預けちまったし、後はバスの爺さんが戻ってくるのを祈るだけか……
最悪手を出すしかねぇな。
「なぁ少し話さねぇか?ほら、肉!お前ら肉食ったか?まだなら早く行かねーと無くなっちまうぞ」
「はいカメラオーケー」
「うし、じゃ始めるか」
「や、やめろ!」
俺の言う事何かまるで聞かずにリーダーがカメラを俺達に向けて、俺を押える男は俺をバスの座席に押し倒した。
「なぁ、こいつって良く見ると可愛い顔してね?」
「そうかぁ?良いからさっさとヤれよ」
「俺普通に興奮してきたかも♪」
「気持ちわりぃなぁ!いい加減にしろ!」
「その強気なとこもいいね♪そういう奴を捻じ伏せて泣かせるのだーいすき♡」
「ひぃ!」
男は俺の乳首をベロっと舐めて来た。
あまりの気持ち悪さに鳥肌が立った。
あーもうダメだ……俺、我慢出来ねぇや……
「ほらもっと声出せよ!気持ち良いですって!」
「…………」
目の前の男を睨み付けて俺は覚悟を決めた。
もうどうにでもなれ。
俺はヤケクソになって、男に思い切り頭突きしてやった。
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