貴哉、期待させてもいいんだぜ?

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貴哉、期待させてもいいんだぜ?

 バスの中で伊織と二人きり。非常にマズい雰囲気になっていた。  俺はクソ野郎共に襲われていたんだけど、伊織が現れて追い払ってくれて、バスの爺さんの気遣いもあってか何か甘い空気になっていた。  ダメだろー!空と約束したじゃん!もうしないって!  でも、伊織が相手だと嫌じゃねぇんだよ……むしろ伊織と抱き合ったりするの久しぶり過ぎて何か懐かしいなって安心する……  あ、伊織が俺の履いてる水着を脱がそうとしてる。抵抗しない俺は既にアウトだな。 「貴哉、最後までしないから」 「ん……でも……」 「キス、していい?」 「……ダメ」 「そっか……」  断ると寂しそうな顔をする伊織。そりゃずりーって!何か俺が悪い事してるみてぇじゃん!いや、悪い事してるんだけどな?  もー、少しだけだ!少しだけ!  俺からキスをすると、伊織は嬉しそうに笑って堂々とキスをして来た。  舌を使って長い深いキス。そしてキスしながら水着を脱がされて俺は真っ裸になった。  伊織とのキスで勃ちつつある俺のを触られるけど、何となく恥ずかしさは無かった。  むしろ俺は伊織を求めているかのように自分から絡みついていた。 「伊織ぃ、なぁ最後までしないって?どこまでするんだ?」 「……貴哉をイかせられたらなぁって、てか貴哉何か大胆になった?俺ドキドキしっぱなしなんだけど」 「なってねぇよ。俺も、伊織と久しぶりだからドキドキしてる……本当はこういうのしちゃダメなのに」 「言わなきゃ分からなくね?あ、貴哉言っちゃうんだっけ?」 「そうなんだよ……空に悪いなーって思うと隠せねぇんだよ」 「それなら俺のとこ来ればいいのに」 「えっ」 「何てね。ちょっと言っただけ。貴哉は早川を選ぶんだろ?でもさ、貴哉もズルいよ。その気あるような態度とるし」 「……伊織ぃっアンッ」  話しながらも伊織は俺のを触っていた。俺はビクビクしながら伊織にしがみ付いていた。ヤバい。いっちゃいそう……伊織に手でされてるだけなのに…… 「俺とこういう事もう出来ねぇならシカトすりゃいいのに。ちゃんと答えて笑っちゃったりするから、俺なかなか辞められないんじゃん」 「アアンッもうダメっ伊織ぃ」 「もしかして早川とヤッた?」 「っ!!」  俺がイきそうになった時、ワザとかって言うタイミングでそんな事を聞いて、更に手の動きも止めた。 「やだっ伊織、手止めんなっ」 「答えて。貴哉」 「……やっ、た……空とした」 「へぇ、やっぱりな。どうりであの時よりエロくなってる訳だ」 「ん……なぁ伊織?……俺っ……」 「ほら、そのイくの我慢してる顔とか、エロい。俺の知らない貴哉だ」 「だって……空とは付き合ってるし、普通だろ?」 「……俺とは?付き合ってくれないの?」 「無理だろ……それは」 「こんな事する仲なのにな。お互い好きなのに、手に入れられないなんて……貴哉、好きだよ」 「伊織ぃ……ごめんっ俺、も好きっもう伊織に期待させるような態度取らないからぁ……だから、して?」 「ほんとに貴哉は……」  ギリギリで止められる状態に耐えられなくて俺からお願いすると、伊織はニヤッと笑って俺をイかせてくれた。  イッた後、しばらく伊織に抱き付いていたけど、落ち着いて来て罪悪感がジワジワと襲ってくる。  ああー、俺はまた……最後までしてないとは言え、キスまでしちゃったよ……  また空が泣いちゃうよ…… 「貴哉、そろそろ行かねーと。二之宮が心配してたぞ」 「んー、もう少しだけ……」 「分かった」  甘えると頭をポンポンとしてくれた。空とは違う伊織のこの温もり。心地良くて好きなんだ。甘くて爽やかな伊織の匂いも好き。 「貴哉、期待させてもいいんだぜ?」 「ん?」 「それが貴哉なら俺は喜んで受け入れる♡言っただろー?貴哉は貴哉の思うように振る舞えって。こうなったら貴哉が俺を嫌いになるまで構ってやるから♡」 「伊織ぃ……嫌いになんかなれるかっ!こんなに好きなのにっ」 「ヤバい。嬉し過ぎる♡でもまた早川んとこ戻っちゃうんだよなぁ。結構辛いんだよなぁコレ」 「決めた!俺もお前が貴哉なんか嫌いだーって思うぐらい最低な奴になってやる!」 「はぁ?それってどんなのよ?どんな貴哉でも嫌いにならないと思うけど」 「んー、いろんな奴とヤリまくるとか?あー無理だわ。さっきの奴に舐められた時鳥肌立ったもんな」 「それは辞めて。まじで相手の事殺しちゃうから」 「出来ねーよ。俺誰でも良い訳じゃねーみてぇだし」 「俺と早川だけ?」 「おう」  誰も知らない俺の黒歴史の戸塚は置いといてー。本当に、二人以外とは考えただけでも虫唾が走るわ。 「そんじゃあ早川さえ超えればいいんだぁ♡余裕ー余裕ー♡」 「やってみろよ。言っとくけど、今の空ってめちゃくちゃいい男だぜ?」 「らしいな。てか俺より良い男じゃなきゃ貴哉の彼氏として認めねーし」 「あはは!そりゃほとんどの奴がダメだろうな」  伊織の言う事がおかしくて笑うと伊織にチュッてキスをされた。もう普通にされてるけど、俺達は付き合っていない。それのせいで毎回複雑な気持ちになるけど、やめられない。  それは伊織もなんだろう。その後俺と伊織は笑い合って、やっと服を着てみんなの所に戻る事にした。
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