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 わたしは小さな頃から、死んだ生き物、俗に言う幽霊がはっきりと見える。それはもう、生きてる人間と見間違うほどに。触れることだってできる。  死んだ時の傷が残ってたり、地面から浮いていたり、透けていたりしてくれたら見分けもつくけど、そうじゃなく、生きていた時のまま、きれいな姿の幽霊もたくさんいる。さっきの男子だって、途中まで気付けなかった。  気づかないまま幽霊と会話をしている姿は、幽霊が見えない人からすれば、見えない何か、もしくは壁に向かって話しかけている奇妙な人間に見えるのだろう。そのせいで、わたしと接してくれる人間はほとんど居ない。クラスでだって孤立している。  その上、なぜだかわたしは幽霊に好かれる質らしく、さっきみたいに告白されることだって、酷い時には無理やり連れていかれそうになることだってある。  敵意があるなら危害を加えてくる、好意的であってもわたしを孤立させる存在。だから、わたしにとって幽霊は恐怖と嫌悪感の対象でしか無い。  そんなわたしに、唯一普通に友達として接してくれるのが悠希だ。悠希とは保育園からの幼馴染で、悠希もまた幽霊が見える。でも、わたしと違って悠希は怖がらないので、いつもさっきみたいに助けてくれる。  悠希が助けてくれるから、今日までわたしは平穏無事に生きているし、悠希が居てくれるから引き籠もりにならず学校に来られているといっても過言じゃない。  ただ、悠希はわたしが幽霊に怯えている姿が好きらしく、最終的には助けてくれるんだけど、その場面を一通り見て、満足してからじゃないと助けてくれない。  助けてくれる事自体は感謝してるんだけど、もう少し早いと嬉しいなあ、とは思う。贅沢かな。
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